山形大学の山本修教授は14日、皮膚の傷に生理活性イオンを放出する粘土鉱物を塗ると、皮膚を良好な状態で再生できることを動物実験で確認したと発表した。傷痕が残らず皮膚が引っ張られたようになる引きつれも生じない。やけどや切り傷などで、真皮以下の組織に及ぶ深い傷の新たな治癒材料になる可能性があるとみて実用化を急ぐ。
開発した粘土鉱物は皮膚の主成分コラーゲンの生成を促進する亜鉛イオン、血管新生を誘導するケイ素イオン、その両方を促すマグネシウムイオンを放出するスメクタイト。その粉末をラットの傷に塗って確認した。
山本教授によると、深い傷の治療にはシート状の被覆剤を傷口に貼る方法が一般的。タンパク質を使って組織を修復させる研究が多いが、効力が長続きしないなどの課題があった。
スメクタイト粉末を塗布すると、コラーゲンが活発に生成され、血管ができるなど良好な状態で皮膚が再生された。効果が長続きし、細菌感染も低減できた。体毛の再生も確認されたという。
山本教授らは来年度ブタでの実験に着手、企業との共同研究を通じ、4~5年かけて実用化を目指す。成果は日本セラミックス協会学術論文誌12月号や海外学術論文誌に掲載される予定。
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