2023年9月11日

古代コンクリートたたき 、その施工法を確立

【古代コンクリートたたきの特徴】

古代コンクリートによる「たたき」は伝統的な「たたき」やポルトランドセメント(以下通常のコンクリートと言う)を使った「たたき」とは異なるものです。
材料も異なれば、その性質や特徴も異なります。

「土間たたき」の範囲でその特徴を挙げると、湿度や水分を吸収し放出する能力は伝統的な「たたき」よりも高く、もちろん通常のコンクリートによるものよりもはるかに高いので湿気のある土間はもちろん、勝手口、デッキの下や床下などの湿気抜きを施したい箇所には最適です。それは、主成分である火山灰の粒子が多孔質構造になっていて、その性質から来るものです。さらに特質すべきは電磁波を吸収する能力が高く、その点は珪藻土の性質に似ていると言えます。さらにゼオライト同様に放射線を吸収する能力も高いです。またこれは関係ないかもしれないが、海水に漬かれば漬かるほどに長寿命になっていく、不思議な性質を持っています。

強度の点では、伝統的な「たたき」は通常のコンクリートを使った「たたき」の1/15の圧縮強度ですが、古代コンクリートによるものは後者とほぼ同じ程度なので、施工の際は厚みを抑えることができます。
また伝統的な「たたき」は軒先などの雨に濡れる箇所では劣化することがあり屋外では使いにくいのですが、古代コンクリートによる「たたき」は通常のコンクリートによる「たたき」同様に屋外でも使用することができます。

堅牢性に関しては、施工後数年過ぎれば通常のコンクリートによるものをしのぐ硬度となり、寿命も従来のそれよりもはるかに長くなります。

なお、デメリットとしては配合材に含まれる生石灰の扱いが危険を伴うので施工の際は十分注意しなければならないことです。
また主成分の火山灰ですが、比較的粒子の細かく柔らかい、鉱物名:ベントナイトを大量に入手することは入手先が限られていることやコスト面で負担になるところです。

また、これは土間「たたき」では考慮することではないですが、あえて難点と言えば、通常のコンクリート同様に使った場合、例えば型枠に同様な骨材を配合して流し込んだ場合、初期強度が従来のそれよりも劣るため、つまり次の施工過程に翌々日から取り掛かることなどは困難です。また初期強度の確保が難しい冬期や寒冷地での工事には比較的日数がかかります。要するに、今日のような効率と経済重視の市場では成り立たない、比較的スローな素材となります


【施工方法】

標準の生石灰と種土の割合は1:10が適しています。
ここで種土とは火山灰と真砂土(別名サバ土)になります。

火山灰の割合は生石灰の2倍が適しています。
よって比率にすると、生石灰1:火山灰2:真砂土8となります。
これを混ぜたものに海水を注いで練っていきます。



一度に盛る土の厚みは2㎝~3㎝が施工しやすいです。
床の目的に応じては、2層目以下の生石灰と種土の割合を1:15にしても十分強度があります。その際の比率は、生石灰1:火山灰2:真砂土13となります。
層の厚みは、重量物を運搬もしくは車を駐車する箇所では5㎝、
軽作業する場所や人の往来する箇所ならば4㎝、
デッキの下や床下などの圧があまりかからない箇所ならば2~3㎝がふさわしいでしょう。
なお、5㎝厚で、トラックなど駐車する場合は鉄筋のメッシュを使用すると注入した海水の塩分によって錆びてきますので、鉄筋の代わりに竹材を使用することをお勧めします。
ちなみに東南アジアの一部の地域では竹材をメッシュにして使われています。

施工面1平米、厚み5㎝とった場合の配合比
「生石灰6㎏」+「火山灰12㎏」+「真砂土48㎏」これに
「海水3L」もしくは「真水3L+苦汁を抜いていない塩100g」を加えます。


(1)「真砂土」「生石灰」「火山灰」をモルタルミキサーで空合わせを行います。

(2)「海水」3Lを準備します。海水が手に入らない場合はにがりを抜いていない塩を1Lあたり34g混ぜて人工的に海水を作ります。

(3)空合わせした1に(2)を入れながら水分が全体にいきわたるまで十分に混ぜ合わせます。(混練り時間の目安は、約2~3分程度、色が白から土色(濡れ色)になります。)
 生石灰が水分を吸収すると熱を発します。熱は200度近くに達するので、マスクと軍手着用で混合物には触れないように注意してください。プラスチック類の容器や器具は使わないで金属製の物を使ってください。

(4)硬い場合は、少しずつ海水を加えながら調整します。(固さの目安は、手で握って団子ができるくらいの水量に調整します。握り締めて少し水が出る程度に調整します。)

(5)練り上がった材料を準備して完成です。               

(6)練り上がった材料を敷き詰めて均していきます。叩き占めることで10mm程度沈み込むので、それを見越して敷き均して下さい。

(7)たたき用の鏝、木槌、などを用い均一に叩き締めていきます。(厚みは標準仕上がり40mm以上で行って下さい。たたく度合いによって強ければ、厚みは2層には分けず、一度に40mm打設してもかまいません。)

(8)凸凹にならないようにし、定規等を用いて高い場合は削り、低い場所には材料をつけながら叩いていきます。フラットにしにくい場合は刷毛で水をつけながら鏝で表面を押さえ、ノロを浮かせ整えます。(あまり強く叩きすぎると修正が行いにくくなります。厚みを揃え、表面を整えるように叩いていきます。また、化粧砂利が仕上げて入りにくくなるので、ご注意下さい。)

(9)化粧砂利を埋め込んだ部分が凹みフラットにならない場合は、刷毛で周面に水を含ませながら、金鏝で抑えノロを浮かせフラットになるまで伏せこんで下さい。

(10)犬走りやアプローチなど、角を丸めて仕上げる場合は丸型の面付き鏝などを用いて丸めることができます。乾燥前に型を外しスポンジ等で水分を表面に含ませながら面付き鏝で仕上げていきます。(縁は圧力がかかると、欠けたりする場合があります。のべ石やゴロタ石などを利用したほうが安心です。)

(11)当日もしくは、翌日に表面のスポンジ拭きを行います。

(12)たたき表面に刷毛等で水を含ませノロを掃き取ります。その後洗い出しの要領で表面を拭き取り、砂粒などが見えるまで拭き取ります。

(13)スポンジ拭き取り後、通風を良くし乾燥させて下さい。雨などに当てないよう(4日~5日程度)養生して下さい。冬場は、10日以上乾燥させて下さい。

(14)最後に完成した表面を水道水等で十分に洗い流します。


配合材を練った後の過程は、伝統的な「たたき」の作業と同じです。
「たたき」を扱った様々な動画が配信されているので参考にしてみてください。



古代コンクリートたたき制作過程は、私の第二のブログ「第三の建築様式を求めて」にて収録しておきました。



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